初心者向けアレンジ講座① 聴き比べでアレンジを学ぼう

今回はアレンジについて触れてみようと思います。

アレンジと言っても、コードを変えるなどの理論的な手法だけではありません。

オーケストラやバンドなどの演奏形態や音楽スタイルを変えることでも、曲は大きく変化します。

ここでは難しい理論的なことではなく、演奏形態や音楽スタイルの違いを比べてみたいと思います。

Amazing Graceについて

今回は広く知られている名曲「Amazing Grace」を例として、演奏形態や音楽スタイルの違いを聴き比べしてみましょう。

Amazing Graceは多くの音楽家によって演奏されていますが、そのどれもが個性的で魅力的です。

この曲自体は作曲者不詳で、アイルランドやスコットランドの民謡である、もしくは南部のアメリカで作られたなど、諸説あります。

作詞はジョン・ニュートン(1725-1807)です。彼は奴隷貿易の仕事をしていましたが、のちに牧師となり1772年にこの歌詞を完成させたと言われています。

以下の楽譜で基本のメロディーとコード進行です。コードは「C・F・G」のスリー・コードで演奏できますので、可能であれば演奏して、その響きを聴いてみましょう。

スリー・コードについてはこちら(GEOPHONIC 音楽講座 3)

バグパイプのバンド演奏

最初の例はバグパイプによるバンド演奏です。

バグパイプはアイルランドやスコットランドなど広い範囲で使われる楽器です。

曲の起源がアイルランドやスコットランドの説がある事を考えると、曲の原型に近いのかもしれません。

コードらしい響きはなく、通奏低音と簡単なハモりが聴こえてきます。

Libera(リベラ)

サウスロンドンを拠点に活動している少年合唱団Liberaの合唱です。

ピアノとストリング、合唱のスタイルで、透明感のある響きが美しいですね。

三大テノール

歌っているのは三大テノールの、ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスです。

歌手三名がそれぞれ前面に出てハーモニーを奏でるため、オーケストラの演奏はやや抑え気味で音数も多くありません。

「Celtic Woman」(ケルティック・ウーマン)

歌っているのはアイルランド出身の女性四人組「Celtic Woman」(ケルティック・ウーマン)です。

歌やバグパイプ、オーケストラ、コーラスと様々な音楽の要素が盛り込まれています。

会場には幻想的で大掛かりなセットが設置され、人の動きなども合わせたショーの一部として音楽が緻密に計算されています。

Alan Eugene Jackson(アラン・ユージン・ジャクソン)

歌っているのはAlan Eugene Jackson(アラン・ユージン・ジャクソン)です。

原曲の良さを残しながら、バランスよくカントリースタイルに仕上げたアレンジは見事です。

楽器はピアノ、オルガン、ベース、コーラスです。

Fred Mcdowell & the Hunter's Chapel Singers

Fred Mcdowell(フレッド・マクダウェル)は、アメリカ南部のテネシー州で生まれたカントリーブルース歌手、ギター奏者です。(1972年没)

曲の起源にはアメリカ南部の説もありますが、このようなスタイルでも親しまれてきたのですね。

私たちが普段耳にしてきたAmazing Graceとはかなり違いますが、人物や民族性、音楽的背景などが違うと音楽はここまで変化するんですね。

Rod Stewart(ロッド・スチュワート)

スコットランド家系のイギリス人のRod Stewartにとって、Amazing Graceは小さな頃から馴染みのある曲なのかもしれません。

ギターの演奏はアメリカ南部のブルースのスタイルが近いでしょう。

音の特徴としては、先のバグパイプの演奏で聴かれた通奏低音が鳴っています。

ELVIS PRESLEY(エルビス・スレスリー)

ピアノ、ベース、ドラムとバックコーラスと言った比較的シンプルな編成の演奏ですが、バランスが取れていて音に厚みがあります。

アイルランドやスコットランドの民謡的要素よりも、ブルースやゴスペルの要素が感じられ、大衆向けに聴きやすくなっています。

本田美奈子

ピアノとボーカルだけのシンプルなスタイルですが、物足りなさは全くありません。

途中で日本語の歌詞も出てきますが、違和感は感じられません。

彼女の音楽に対する情熱が感じられ、その歌唱力と存在感は圧巻です。

Edgar Muenala(エドガー・ムエナラ)

パンフルートによるテーマですが、楽器が変わると曲の雰囲気もガラッと変わりますね。

いわゆる「民族音楽」的な雰囲気も良いですね。

パンフルートは2種類使っているようです。

冒頭はアコースティックギターだけですが、後半はドラムやキーボードなどが重ねられています。

Peter Hollens feat. Home Free(ピーター・ホーレンス)

歌っているのはピーター・ホーレンスによる六名のアカペラグループです。

六声になると声だけでも音に厚みがあり、色々なハーモニーを出すことができますね。

クラシックやブルースでもないポップな感じで、今風のアレンジに仕上がっています。

Aretha Franklin(アレサ・フランクリン)

歌っているのはソウルの女王、アレサ・フランクリンです。

ピアノ、オルガン、ドラム、コーラスの編成ですが、もっとも特徴的なのはゴスペルスタイルの演奏です。

紹介する動画は彼女の人生を描いた映画「AMAZING GRACE」のトレイラーです。

演奏だけの動画もあるのですが、彼女の音楽や生きかたなどに興味のある方はこの映画をご覧になるのも良いでしょう。

おまけ 映画『アメイジング・グレイス』予告編

Amazing Graceが作られたいきさつや、その時代背景などが描かれています。

このような側面から音楽を捉えるのも、参考になるのではないでしょうか。

まとめ

他にもたくさん紹介したかったのですが、今回はここまでにします。

同じ曲でも楽器の編成や音楽スタイルによって、違いが感じられましたね。

あなたのお気に入りのアレンジはどれだったでしょうか?

その曲があなたの音楽的ルーツになり得ます!

では、次回をお楽しみに♪

BY GEOPHONIC

 

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