初心者向け作曲講座① コードから曲を作ろう
曲作りの動機や主題
作曲した事がある方であれば「曲のアイデアがいきなり思い浮かんだ」事が、少なからず経験があるのではないでしょうか?
不思議なことに、これらのアイデアは電車などの移動中やテレビをみている最中、寝ようとしていた時など、場所や時間を問わず思い浮かぶと思います。
曲のアイデアには色々ありますが、一般的に多いのは次のようなアイデアだと思います。
・鼻歌程度の短いメロディー
・ギターのリフ
・コード進行
・ドラムなどのリズムパターン
これらは曲作りの動機や主題となります。
この動機や主題の事を「モチーフ」(Motif)と言います
作曲初心者にオススメの方法
初心者の方がいきなりイントロからエンディングまで、すべてのパートを重ねて完璧に作り上げることは無理でしょう。
また、作曲しようとしても「モチーフ」(曲のアイデア)が思い浮かばない方もいると思います。
そんな方には「コード進行」から作業を始める事をオススメします。
その理由は「コードを組み合わせるだけで、簡単に曲の骨組みができる」からです。
しかも使うコードは、主要となる三つだけで構いません。
主要三和音
Cメジャー(ハ長調)の場合、主要となる三つのコードとは「C」「F」「G」です。
これらを「主要三和音」や「スリー・コード」と呼びます。
主要三和音さえ覚えてしまえば、あとは簡単です。
これらを自由に組み合わせるだけで、曲の骨組みができます。
また、ジャムセッションでも非常に役立つので、是非覚えてください。
スリー・コードでできている曲
ここで思い浮かぶ疑問があると思います。
「コード三つだけでカッコイイ曲作れるの?」
もっとな疑問ですが、「ブルース」のほとんどの曲はスリー・コードが基本です。
(ブルースのコードや構成などは、別の機会に更に詳しく説明します)
また、ロックやフォーク・ソング、古い民謡などもスリー・コードを基本に作られている曲が多数あります。
ただ正直なところ、近年はスリー・コードだけの曲は少ないかもしれません。
しかし重要なことは使っているコードの数ではなく、音楽そのものの良さです。
ここで例を見てみましょう。
・THE HIGH-LOWS 日曜日よりの使者
CMなどでも使われ、聞き覚えのある曲だと思います。
この部分だけではなく、曲全体スリー・コードでできています
・イギリス民謡(作曲者不詳) Amazing Grace(コード:C・F・G)
動画は一部アレンジされていて、3コード以外も使われていますが、基本的には3コードで演奏できます。
この曲は数多くのアーティストが手がけていて、代理コードを使うなど様々にアレンジされています。それらを聴き比べするとアレンジの勉強になるでしょう。
検索すると他にも色々な曲を見つける事ができると思いますが、他にもいくつか例を上げてみましょう。
・THE BEATLES LOVE ME DO(コード:G・C・D)
・Cream Crossroads(コード:A・D・E)
ちなみにコード二つだけの曲もあります。
・Bruce Springsteen Born in the U.S.A.
・John Lennon Give Peace a Chance
覚えてほしい事
スリー・コードを連結させる際に、次の事を覚えておきましょう。
①「Ⅰコード」から始まって「Ⅰコード」で終わると聴きやすくなります。あえて「Ⅰコード」で終わらない技法などもありますが、実際に使うにはやや難易度が高いかもしれません。
②「ⅣコードからⅤコード」への進行、いわゆる「サブ・ドミナントからドミナント」への進行は禁則、または好ましくないと言われていました。しかし実際のところ、そのようなコード進行は多くみられます。ポップスやロックなどでは違和感がなければ、使って構いません。
③小節数は4や8、16など、4の倍数にしてみましょう。もちろん違和感がなければ自由ですが、4の倍数だと、まとまりやすいと思います。
④「Ⅴコード→Ⅰコード」と「Ⅳコード→Ⅰコード」の進行をケーデンス(終止型)と言い、コード進行の最小単位と考えられます。何度も弾くなどして、その響きの違いを覚えておきましょう。
スリー・コードの実例
次はスリー・コードを連結させた例です。
これ以外にも無数に存在しますので、自由に組み合わせてみましょう。
ちなみにⅠコード以外で終わった場合、どのような響きになるでしょうか?
次はⅤコードで終わった例です。
最後の「G」を聴いた時、まだ終わらずに続く感じがしないでしょうか?
感じ方は人それぞれですが、音楽やコード進行を聴いて「終わった感じがする」もしくは「まだ続く感じがする」などと言った感覚は非常に重要です。
これも一つの「音感」と言えるでしょう。
もし、イメージと違う感じたら
自身で色々試しているうちに「明らかにイメージしている響きと違う」「どうしても物足りない」などと感じたら、それは大きなチャンスです。
それがあなたのオリジナルであり、まさに作曲の作業なのです。
手探りであなたの求めている響きを探してみましょう。
慣れないうちは時間がかかるかもしれませんが、諦めなければ必ず見つかります。
スリー・コード以外のコードを代理として使うことができますが、それはまた別の機会に説明したいと思います。
まとめ
スリー・コードは単に理屈を覚えるだけではなく、必ず楽器を弾くなどして、その響きを覚えておきましょう。
これから更に代理コードや作曲について色々学んでいくと思いますが、重要なことは「不要なコード(音)を鳴らさない」ことです。
これはセンスや感覚の問題なので非常に難しいのですが、様々な曲を聴いて参考にしましょう。