今回はモノコード(Monochord)の工作と実験を行います。

モノコードとは音程を測るために用いられる器具です。一本の弦を張り「ことじ」(もしくは駒)を目盛りに合わせて移動させることによって音程を測定したり、把握する事ができます。

100円ショップやホームセンターで購入できる材料を使い、比較的簡単に作れて、実験ができる物を作ってみたいと思います。

◯材料

板材×1枚

100円ショップで購入。サイズは400cm×12cm×90mmです。

角棒×2本

こちらも100円ショップで購入。サイズは910cm×15mm×15mm。

三角棒×1本

こちらはホームセンターで購入しました。以前は100円ショップで似たような物が売っていたらしいのですが見つけることができませんでした。サイズは900mm×10mm×△と表示されています。

竹ひご

売り場には細い物と太い物がありましたが、購入したのは太い方の直径3mmです。

テグス

サイズは3号。直径は0.3mmです。

おもり

釣り用のおもり、25号(約93.75g)を使用します。実験専用のおもりではないので誤差が生じるかもしれませんが、どの程度の誤差が生じるのかを確認してみましょう。

画鋲

テグスを固定するために使用します。自宅にあった物を使用しました。

クリップ

テグスと重りを繋ぐために使用します。こちらも自宅にあった物を使用しました。

ストロー

竹ひごを通して滑車の代わりに使います。竹ひごが通るかサイズを確認し、太めの物を準備しましょう。

マスキングテープ

「ことじ」を設置するさいの「目盛り」を記入する際に使います。普通の紙を細く切って代用することもできます。

◯道具

ノコギリ

棒や竹ひごを切る程度ですので、大きなものは必要ありません。

キリ

ドリルがあれば便利なのですが、今回穴をあけるのは2箇所だけですので、キリで済ませました。

ボンド

◯作業

では作業にとりかかります!

まず角棒を均等な長さ(45.5cm)で半分に切ります。

角棒の端から2cmの所に穴を開けます。2本とも同じ位置に穴をあけてください。穴が斜めにならないようキリを垂直にしましょう。

角棒と板をボンドで接着します。この後、角棒に開けた穴に竹ひごを通しますので、接着する向きを間違えないようにしてください。

たまたまあったダンベルを重石代わりにしてみました。雑誌などでも十分代用できます。

竹ひごを板の幅(12cm)に合わせて切ります。

竹ひごの両端が1cmほど出る長さにストローを切りましょう。

ストローが角棒の間に位置する状態で竹ひごを通します。本格的なモノコードでは滑車を使いますが、この部分が滑車の代わりになります。

 

次に三角の棒を板材の幅(12cm)に合わせて二本切ります。

三角の棒を板材の両端に接着します。

 

板材の側面に画鋲を刺します。

これでモノコード本体の完成です!

次に「ことじ」と呼ばれる部品を作ります。

角棒と三角の棒を2cmの長さで切ります。

二つを接着させて完成です。カッターや紙ヤスリで削り綺麗にすると良いでしょう。実験の内容によっはて2〜3個必要な場合があると思いますので、その際は複数作っておきましょう。

次に テグスを画鋲にくくりつけます。

反対側にクリップをくくりつけ、おもりをぶら下げます。

次にマスキングテープを貼り目盛りを記入します。実験内容によって自由に記入できますが、今回は「1:1」「1:2」「2:3」「3:4」の目盛りを記入しました。

これで実験準備完了です!

◯実験

では、実験してみましょう!

以下の条件で実験します。

テグス

太さ:0.3mm

振動する部分の長さ:38.5cm

おもり:93.75g

実験①

テグスを弾いた時「121〜124Hz」の数値が計測されています。弦を弾いた時に同じ数値ばかりではなく誤差が生じるのも実験の面白いところですね。

弾き方を強くすると大きな音が出ています。また基本の数値だけではなく、いわゆる「倍音」が出ている様子も見ることができます。

実験②

奥側のテグスにおもりを二つぶら下げました。187.5gのおもりがぶら下がっていることになります。

手前の方は「123〜124Hz」なのに対し、奥側は「166〜167Hz」となっています。重りを重くして強く引っ張られた方が高い音が出ると言うことですね。

実験③

手前のテグスの中央に「ことじ」を設置しました。これでテグスは「2等分」され、長さの比率は「1:1」となりました。

左右ともに「248〜249Hz」の数値が現れています。先ほど「ことじ」を設置する前は「123〜124Hz」だったので、その比率はほぼ「1:2」となっています。これがいわゆる「1オクターブ」の関係となります。

テグスの長さが「1/2」になると、音の高さは「2倍」になると言う事ですね。

実験④

次に「ことじ」を「1/3」の位置に設置しました。これでテグスの長さの比率は「1:2」となります。

長い方が「約189Hz」なのに対し、短い方が「378〜380Hz」の数値が現れています。その比率はおおよそ「1:2」と考えられます。これも「1オクターブ」の関係となっています。

実験⑤

次に「ことじ」を「2/5」の位置に設置しました。テグスの長さの比率は「2:3」となります。

長い方が「約210Hz」なのに対し、短い方が「310〜311Hz」の数値が現れています。その比率はおおよそ「2:3」と考えられます。

実はこの数値の確認は、今回の実験を行った大きな目的の一つです。これがいわゆる「完全5度」の音程です。現在の音楽の「音律」はこの発見から始まったと言っても過言ではないでしょう。

実験⑥

次に「ことじ」を「3/7」の位置に設置しました。テグスの長さの比率は「3:4」となります。

長い方が「約222Hz」なのに対し、短い方が「約286Hz」の数値が現れています。その比率はおおよそ「3:4」と考えられます。これがいわゆる「完全4度」の音程です。

他にも様々な実験ができますが、今回は一旦ここまでとします。

身近な材料や道具で自作したわりには、我ながら見栄えも良く、色々な実験にも使える物を作ることができたと思います。

マスキングテープに記入した目盛りですが、定規を使って記入したものの実際に音を出すと大きな誤差が生じると思っていました。しかしそれほど大きな誤差はなく、ほぼ理論通りの数値が計測できたと思います。

今回はいわゆる「完全協和音程」と呼ばれる「完全1度」「完全8度」「完全5度」「完全4度」の音程の実験を行いました。それらの音程は二つの音が綺麗に響きあい、振動数の比率が単純であるとされています。

この実験で一番の問題点は音が小さかったこと。

これは作る前から予想していたので、共鳴する箱を作ることも考えたのですが、今回はあくまでも、比較的簡単に作れる事を目的としていたので、音を大きくする方法は別の機会に行いたいと思います!

それでは次回をお楽しみに♪

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